MHWsにおけるDLSSやフレーム生成の意味とGPUの選び方
この記事を読むと得られること
- DLSSやフレーム生成、DLAAがわかる
- MHWsに最適なグラボがわかる
- フレーム生成による画質の変化がわかる
突然ですが皆さん、モンハンワイルズ楽しんでますか?
私はドハマリしてて「こんな面白いゲームをもっと美麗なグラフィックで楽しみたい!」と思ってGPUの買い替えも検討してるほどです。
お金が無限にあれば、何も考えずにRTX5090を買って最高画質にして遊べばいいのですがこの記事を書いている今ですら40万円超え(お金払えば買えるだけ一時期よりマシ)
悲しいかな、私にはそんな石油王プレイができないので自分の身の丈にあったGPUを選ばなければいけません。
そこで改めて最新のGPUについて調べてみると、VRAMの容量やCudaの数、クロック、消費電力といった表面上のHWスペックを比較するだけでは十分な比較とは言えず、DLSSやフレーム生成機能、DLAAなどなど…AI用のコアを使ったHWアクセラレーションの部分も理解していないと「身の丈にあったGPU」が選べない時代になっていました。
これらの知識も持っていたつもりではあったのですが、改めて調べてみると思ったより自分の知識が薄っぺらいものだったなと思い知らされたので、これを機会に本記事にまとめてみましたので、私のようにGPUの買い替えを検討してる人やこれからワイルズ始めたいけどどのGPU買えばいいかわからない!といった人は是非この記事を参考にしてもらえればと思います。
では早速、最近のGPUに搭載されている魅力的な技術について解説していきます。
DLSSとは
DLSSはDeep Learning Super Samplingの略で、低解像度でレンダリングした画像をアップスケーリングしてフレームを描写していく方法のことです。
今までのGPUはShaderコアの数とクロックを向上させることで描写能力を上げていきましたが、電力・発熱の問題があるため無制限に数やクロックを上げるわけにはいきません。
そこでNVIDIAはShaderコアとは別にTensorコアというAI向けの演算(正確に言うと行列演算)に特化した別のコアを用意して、そこに描写機能の一部を任せるDLSSという技術を発明しました。
このDLSSをものすごくざっくりいうと
「Shaderコアには低画質の画像描写をさせて、Tensorコアで補完する技術」です。
DLSSを使うことでShaderコアで全部を真面目に描写するよりもShaderコアに余裕ができるので、GPU全体の出力としてはfpsを向上させることができます。

ただこのDLSSも完璧ではなく、あくまでも上図のオレンジ色のピクセルは「AI演算で予測のもとに描写されたピクセル」であり本物ではありません。
もう少しざっくり言うと、オレンジ色のピクセルは「周りがこんな感じだから、ここはきっとこんな感じでしょ」と、いい加減に描写した偽物なので通常描写に比べると画質は落ちます。
さらに通常描写に比べて1枚のフレームを完成させるまでに、Shader処理→Tensor処理と2つの処理になることによって(微小ではありますが)遅延も発生します。
これがどれくらいの影響になるのかは後ほど実際のプレイ画面で比較します。
なおDLSS自体はNVIDIAの比較的新しいGPUでしか使えませんが、AMDや古いNVIDIAのGPUでもFSRというほぼ同じような理論でfpsを向上させる技術もあります。
フレーム生成とは
DLSSと併用されるfpsの向上技術としてフレーム生成も有名ですね。
フレーム生成も原理はDLSSと似ていて、対象がピクセル単位からフレーム単位になっただけです。

ここでは青い画像を本物の描写、オレンジの画像を偽物の描写(フレーム生成によって作られた画像)としています。
この図を見て分かる通り、もうこれだけでfpsが2倍になります、すごい!
今回の例では本物の描写と偽物の描写が交互に出てきてますが、GPUの世代によっては本物1に対して偽物を2枚以上のフレーム生成をすることも可能です、やばい!!
…と、手放しで喜びたいところですが、DLSSと同様のデメリットもあります。
まずはDLSSと同じ原理で「画質の低下」です。
今回の例えではオレンジ2の画像は青1と青3の画像から予想して作られています。
イメージとしては
オレンジ2 = (青1 + 青3) ÷ 2
です。
やっぱり本物ではない偽物は細かい描写が中途半端となり、若干霧がかったようなボワッとした画質になりがちです。
そして、遅延も発生します。
上の式(?)でも言った通り、画像の2枚目を生成するのに時系列的には未来に存在する画像の3枚目を必要とします。
つまり偽物フレームを生成するために次のフレーム生成を待たなければならないため、常に数フレーム分の遅延が生じます。
【おまけ】DLAAについて
DLSSと混同されるDLAAについてもここで少し紹介します。
DLAAはDeep Learning Anti-Aliasingの略でTensorコアを使ったアンチエイリアシング技術です。
アンチエイリアシングはジャギーを処理してくれる機能ですので、これを有効化することで直接fpsには影響はしませんが画像が滑らかになります。
fspには影響しないとは言いましたが貴重なTensorコアのリソースを食います。
DLAAのせいでDLSSやフレーム生成にリソースが割けなくなるのは本末転倒なので、ShaderコアとTensorコアのどちらに余力があるのかを見極めて適切な設定をしましょう。
他にもレイトレーシングなどTensorコアを活用した機能はもっとありますが、それらはよほどリッチな表現を求める際に使うものですので今回は省略します。
それでは次からは実際に各機能のON/OFFによる画質や遅延量の比較をしていきながらそれぞれのニーズにあったGPUを紹介していきます。
実際の画像比較
今回の検証するゲームタイトルはもちろんモンスターハンターワイルズ、使用GPUはRTX4060でFHD運用です。
設定はこんな感じで、DLSS・フレーム生成を切る時は「アップスケーリング」をOFFにして他は変えていません(アップスケーリングを無効化するとフレーム生成も無効化されるため)

まずはわかりやすいところでセーブデータ選択画面での比較。


特に画面中央下の草や、右端の岩の縞模様をみるとわかりやすいのですがDLSSを有効化してるほうがなんとなくボヤッとしてるのがわかるかと思います。
続いてゲーム内での描写です(完全に同じ画角ではないです)


こっちでも一緒ですね。草やジェマさんが使う砥石?の描写が大きく違うかと思います。
あくまでも個人的な感想ではありますが、最初は結構この画面全体がボヤッとした感じが気になって仕方なかったのですが、MHWsは激重ということもありDLSSを有効化しなければ60fpsが維持できなかったので涙を飲んで有効化してました。
ただ、数時間も遊んでいれば結構慣れてきます。なんならこれがワイルズの味なのかな?と思うレベル。慣れって怖いね。
最後に遅延量の比較です。
本当は一定時間の平均値などを集計すべきかと思いますが測定方法がなかったのと、どちらもだいたい画像の値の±10を前後するイメージだったので瞬間値の掲載のみになります。参考までに御覧ください。
なお、場面としてはどちらも集会所にログインした地点での計測です。

こう見るとDLSSとフレーム生成を使うと10msほどの遅延が発生してます。
とはいえこれは私は全然気になりません(というか違いが分からぬ)
格ゲーやプロゲーマーレベルの動体視力を持ったFPSゲーマーなら気にするのかな…というレベルです。
画質の低下も遅延の増加もこの程度でfpsが30以上も伸びるのであればメリットが完全にデメリットを上回っているのでDLSSやフレーム生成は積極的に使うべきじゃないかなというのが個人の感想です。
オススメGPU
ここまでDLSSやフレーム生成による描写への影響を見てきましたが、最後にそれらを踏まえてどのGPUを選べばよいのかを見ていきたいと思います。
【DLSSあり】FHDで安定して60fpsが出ればいい
私を含むGPUライト層?のあなたには意外にもRTX4060で十分です。
ネットでは
「VRAM 8GBってwww」
「RTX4060じゃワイルズは無理www」
とか言われてますが、そもそもこのレベルを検討してる人間はワイルズを最高画質で楽しみたいと思ってません。
それよりもお手軽にワイルズを楽しみたいというニーズを満たすよい製品だと思います。
とはいえ正直なところ私自身も発売前のベンチマーク結果とか見てて結構無茶かなぁと思ってたんですが、製品化&アップデートに伴い最適化が進んだのか4060で十分でした。
前世代のGPUなのでコスパも良好ですが、在庫は現在流通限りとなりそうです。
もし在庫切れになった場合は5060が穴を埋めてくれます、きっと
【DLSSあり】FHDで安定して120fpsでヌルヌル遊びたい
ちょっとお財布に余裕のある貴方には4070Tiや4070Ti Super、5070がオススメです。
本当は私もこのあたりが欲しかったんですけどね…GPU単体に10万円超えは日和ってしまいました…
このへんをポンッと買える人が羨ましい。
【DLSSなし】FHDで安定して60fpsを目指す
ここからは一気に価格レベルが上がります
フレーム生成なしでオリジナル画質で60fpsとなるとRTX5080クラスは必要ではないでしょうか
ただ、個人的には5000シリーズはフレーム生成技術も最新なので、フレーム生成を有効にしつつテクスチャ品質を上げたほうが幸せに慣れそうな気がします。
今回はもう在庫が市場にないため紹介していませんが、RTX4090などがあれば…
いや、それでもテクスチャ品質を上げたほうがいいと思います
【DLSSなし】FHDで安定して120fpsを維持するぜ!!
はい、もう皆さんもわかってると思いますがここまで目指すなら大人しくRTX5090を買ってください
とはいえ、最高画質などを目指さないのであればRTX5080でも十分届くレベルかとは思いますが、やっぱりそんなことをするなら大人しくDLSS使ってテクスチャ品質も最高にしたほうがいいんじゃないかなぁとは思いますが、比類なき高画質のワイルズを楽しむのもまたロマンです。
さて、GPUの紹介はここまでになりましたが結論「好きなGPU買えばいいと思うよ!」
正解などないこの世の中、自分の軸を持って自分に必要なものを選べればそれがあなたにとってのベストアンサー
この記事がそんなベストアンサーの一助になれれば幸いです。
良きモンハンライフを!
おまけのおまけ
ワイルズのキャラメイクが結構個人的にはうまくいってスクショとって遊んでたんですが、その画像をAIくんにアニメ調にしてもらいました


かわいい!!
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません